SAO19読了。
……。
微妙でしたね。
今回はロニエの話。キリトやアスナ視点がなく、スピンオフみたいな感じ。
微妙でしたねー。
キリトが新たなアンダーワールドを作る、のを、ロニエ視点で見てるわけですが、変わっていくアンダーワールドをアンダーワールド人として観察するというより、キリトに片想いしてる女の子が救世主キリトのやることなすことにめろめろしてる話にしか見えなかった。
コネで(学校の仕組みや生徒の質を見ると私にはそうとしか見えない)整合騎士見習いに取り立てられ、コネで代表騎士の側仕えみたいなポジションを維持し、終始キリト先輩凄いキリト先輩素敵でキュンキュンドキドキしつつ、でもアスナには叶わない……知られちゃいけない……と思い、想いはそっと心に秘めている恋愛脳で話が進んでいくわけですよ。
キリト以外にはバレバレだと思うんだけど、それはおいとくとして、とりあえずなんかひどい。
ティーゼの気持ちとかはまだわかるんです。好きな人を忘れたくない気持ち、でも揺れる気持ち。新しく好きになる罪悪感とかね。悩むよね。
でもロニエは想いが届かないのを承知としながら、吹っ切る気は全くない。
理由はアスナが絶対敵わない相手だから。
ここポイント。諦められないのは「キリトがアスナ以外を見てないから」じゃないんですよ。この子相手がアスナとか格上の存在じゃなきゃキリトにとって自分はアリだったはずだと思ってるんです。
ああ、なんてひどい運命のいたずら。相手がステイシア様でさえなければ。でも私耐えるわ。誰とも結婚しない。一生この心はキリト先輩のもの。
ていう乙女の思い込み激しい自己陶酔がびんびん伝わってきてね?
でも前巻で、ロニエとティーゼの生まれ変わりっぽい、姓が同じでしかも整合騎士の地位にいる女の子が出てきてるから、ロニエはおそらく誰かと結婚してるはず。
もしかしたら、弟の存在をやけに小出しにしているので、家は弟が継ぎましたー、前巻の子は弟の子孫ですーってこともあるかもしれないんだけど、まあ、生まれ変わりっていったら直系だと思ってこっちはみますよね。
そういう目でみてるとこの悲痛で自己憐憫の強い恋心は痛々しいわけです。
そういうわけでイタイ彼女の視点でアンダーワールドの新体制を巡っていくのも結構辛いのですが。
政治的な面も、爵位無くしましたー皇帝滅ぼしましたー領地解放しましたー
で、済むわけないじゃないですか。
アルスラーン戦記みたいな国を統治する系の物語を読んでると、余計に首を傾げたくなる。大貴族、いきなり身分や領地をとりあげられて「じゃ、お前らもこれからは普通の人だからまっとうに働けよ!」って言われても無理ですよ。貴族に雇われて給金をもらってた人の中にはただ解放されても困る人だっていたのでは?
その辺のフォローや受け皿は、SAOはそういう話ではないので飛ばしたのかもしれませんが、書かれてる限りだと間違いなく貴族の反乱が起きますね。それが起きない&これからも起きる心配がないのは禁忌目録の「お上には逆らっちゃダメ」という条文のお陰でしょう。
こういう、アンダーワールド人独特の自由意志を抑えるルールによって支えられる統治って、支配者が変わり、方向性が変わっただけでやり方はアドミーとさして違わないのではないかしら。
だもんだから、いくら「土地がないから世界の果ての壁を越えるぜ!」「えーそんなこと考えてるキリト先輩すごーい」ってやられても、すとんと素直に凄いと感心できない。新しい冒険の予感にワクワクできない。ただでさえ、語りはロニエの恋心フィルターがかかってるし。
そんな感じで今回はかなり微妙でした。アスナの出番少ないし。
大戦のあとの皆さんの後日談的な要素はよかったです。
ファナティオとシェータそれぞれの子供とか微笑ましいです。イスカーンパパが幸せそうで、ベルクーリも生きてたらなあ。
読み直してあとで何か思いついたら追記するかも。